町田沙弥香 展  MACHIDA Sayaka Exhibition 2013.7.23-8.3

[画廊からの発言] 新世代への視点2013
 

 

 
会場風景
 

 

「雨降る六月の身体」
 
雨の降る風景の中で大きく深く深呼吸をする。

雨が降って水が溜って、蒸発し、そしてまた雨が降る。
大昔から、その繰り返しの中で、風景や情緒は更新されていく。

最初は無機質な色質のコンクリートの壁やアスファルトの地面も、時間の蓄積やあらゆる偶然とともに思いもよらない味わいを漂わせる。

年期の入った染み、浸食された苔、ポスター糊の後、ペンキがはげて見えてしまった鮮やかな錆。

風雨に晒され様々な物質との関わりの中で表情豊かになるそれらの有り様が、ときおり自分の身体や情感の奥深いところをぐっと掴んで離さない。

私たち人間も、食事をし排泄をし汗をかき、水分や物質、あらゆる経験という名の情報を身体に取り込み、その時自分にならないものは外へ出て行く。

日々の中の「こんにちは」と「おつかれさま、さようなら」をたくさん繰り返して存在している。

世界はなかなかせわしない。

いま、世界がこうしてあることや自分が生きていられるふしぎさ。

壁と地面の間で、ぼんやりと、ふとそんなことを考えた雨降る六月、わたしの身体。
 
町田沙弥香 2013年6月、制作ノートより抜粋