池内晶子 展〈絹糸によるインスタレーション〉IKEUCHI Akiko Exhibition 2014.9.4-9.21
「絹糸によるインスタレーション」
Knotted Thread – white – h 220 cm – distance of 50 cm
展示風景
–
–
光のなかで忘れてはならない
思い出すこと
光の底に
壁から壁に渡された基軸の絹糸は緩めに張られている。
結び目が連なっている絹糸は床にすれすれになるよう垂れ下げられている。
結び目の連なった絹糸の上先端は輪になっていて、基軸の絹糸を通す形で連結され、固定されていない。
そのため、結び目の連なった糸は自重と張力の拮抗によって、自ずと基軸の糸の中央に移動し垂れ下がり、基軸の糸は結び目の重みによってV字の形状になる。
絹糸は湿度の変化により伸縮し、結び目の連なった糸は、床に接したり、離れたりする。また、人の動きなど、空気の流れに敏感に反応し揺れる。
「untitled」(1998年)東京芸術大学陳列館3Fでは、一組の上記の構造の展示だったが、ここでは二組が配置されている。基軸は東西方向に50cmの間隔で平行に並列されている。また、「untitled」(1998年)よりも細い糸となり、基軸の糸と結び目が連なっている糸は同一(絹100番)である。
基軸は東西の方位-地球のつくる磁力-常に一定ではなく、絶え間なく変化している地磁気に沿わされ、支点が探される。
絹糸は身体との親和性が高く、柔らかく、100番の細い絹糸はほんの少しの力の加減で切れてしまう。
人が見ようとして近づけば近づく程、糸は震え、湿気を含んだ呼気で伸長される。
糸と糸との間、空気、光、暗闇の洞窟の反転、坂上の―。