– 惑星的 –
そこにあるもの、そのもの自体に対する関心以上に、その対象までの距離に興味を持ってきました。
ひとつの例として、ピカソの作品のなかでも数多い「画家とモデル」シリーズの一点を取り上げたいと思います。それは総合的キュビスムに移行する時期の作品です。
その奥行きの浅い絵を見て、画家とモデルまでの距離を、もっと言えば〈対象〉までの明確な〈距離〉と〈深さ〉を一瞬のうちにミリ単位で了解してしまったということがありました。 ただの錯覚であるとも言えますが、それは無条件に空間を感じ取った瞬間であり、俯瞰した捉え方、関係を測るような見方だったと思います。
見えていないものを見えるものにする手がかりとして、方向と量を持つベクトルをどう扱うべきか、どう形にするか、そこに突破口があり、それは俯瞰した惑星的視点で捉えることにより可能になるのではないかと考えます。そこには質量と引力だけしか残らないという危険を抱えながらも、惑星的手がかりが必ずあるはずだと思います。
牛膓達夫