野村和弘〈美しい直線ー反語的タイトル〉NOMURA Kazuhiro Exhibition 2019.9/12-9/29
犯罪ドラマでは、頭を貫通した弾丸が壁に発見される、というような場面がよく展開される。頭部の穴と、壁のへこみを直線で結べば、どこから撃たれたのか?、犯人の身長は?と、事件解決の手掛かりが与えられるというわけだ。(略)それでは、その弾丸が、思考など、頭の中を通過していく種類のものだすればどうだろう?(略)いずれにしても、一直線に結ばれることはなく、屈折だらけとしかなりえないのではないか?これが、私たちの取りうる関係の、ほとんどすべてであるように思われる。AIが決定を下す過程も、ブラックボックスの中にあり、何がどのように作用したのか?、よく分からない。それでも、だいたいが躊躇することなく、AIの対応を進んで受け入れるようにスライドしていくに違いない。聴きたい音楽も、進むべき道も何も、いつも適切なものを選んでくれる(美しい直線が、見えてこなかった?)。
ー書き下ろしテキスト「美しい直線」より
野村和弘