もともとドローイングから彫刻をつくるというプロセスを好まなかった。ところが、ある時期から
終止符を打たないドローイングを描き溜めるようになり、その中から、カタチを決めることではなく
立体を使ってドローイングをするようになっていた。知らず知らずのあいだに私の中で、この行為が
それまで抱いていた観念的な彫刻から自分を開放することでもあることに気付いていた。それは
彫刻をつくることの概念から、たとえ外れていたとしても、それを許容する自分との対話を交わす
きっかけとなり、この数年間のあいだ、創作意欲を掻き立てるものでもあった。
2014年10月 前田哲明