町田紗弥香〈アスファルトの地面の下・コンクリートの壁の向こう ー灰色の風景をやわらかくするー〉MACHIDA Sayaka Exhibition 2019.10/10-10/27

近年のわたしの暮らしから見えるのは、このコンクリートとアスファルトの灰色を基本の色とした風景です。
ここ数年は、この灰色の地面と壁の表面を観察することから絵画制作を行ってきました。
今までは、その表面の移ろいと偶発的な出来事から風景を見つけ、自分の気持ちや情感がどのように反応するかを大切にしてましたが、
最近少し捉え方が変わってきました。
面の上で線やマチエールとして眺めてきたヒビ割れや表面の劣化が、明らかに変形へと向かっていることに気がつきました。
大きな災害が起こらなくても、これらが果たしていつまで形状をとどめているのだろうという感覚を持ちました。
再び活発になってきた気候や地中の動きに対して、私たちの暮らしを守る硬い地面や壁そのものが〝つれている〟ように感じています。
この生活を守られていることと土の匂いがしなくなってしまったことの息苦しさや違和感について向き合って制作しています。
今回の展示は、今まで向き合い続けた灰色の風景から、その向こう側への一歩を踏み出そうという試みです。

町田沙弥香