記憶の風景を歩く
遠い滝 – 明るさの姿 –
深い谷の先、歩き続けてゆくと開けた場所に出た。
そこは眩しい光にあふれていて、上下の区別もつかないように明るく輝いている。
まったく足元の実感がないまま歩いていると広い空間の中に一筋の明るさが見える。
あまりに遠くにあるのでさだかではないが、浮んでいるはずもなく、近ずいて確かめようとすると消えてつかまえることはできない。
それはひどく遠くにあり、まるで明るい霧の中で凍てついているかのようにそこにある。
2023年6月1日 川越悟